一年で陰の気が最も強くなる季節です。
漢方では、外に出ずに静かに暮らし、春に向けてのエネルギーを蓄積する時と考えられています。
●立冬
陽の光が一段と弱まり、冬の気配が感じられるようになる頃です。冬の始まりの日です。
●小雪
山の頂には白銀の雪が眺められ、冬の到来を目前に感じさせます。
●大雪
木枯らしが吹き始め、降雪も多くなる頃です。
●冬至
昼が一年で最も短く、夜が最も長くなる日です。冬の中間点です。
●小寒
「寒の入り」といって、寒風と積雪に悩まされる本格的な冬の到来です。
●大寒
一年で最も寒さが厳しい頃です。
生活の心得「養腎防寒」
冬は植物が葉を落とし、動物や昆虫も冬眠に入るなどして活動を抑える時期です。多くの生命は内にこもり、静かな時を過ごします。陽気が少なくなり、陰気が最も多くなる時でもあります。この季節にはエネルギーの蓄積を心がけ、来るべく春の季節に備えるようにしておきましょう。激しい運動やダイエットは、エネルギーを消耗するのでできるだけ避けましょう。
冬では、特に「腎」の働きに気を付けます。漢方では「腎」の「気」が旺盛ならば生命力が強まり、冬の寒さにも適応できると考えられています。腎気を衰えさせないようにし、その働きを活発化させることが冬の養生において重要です。
冬の養生の注意点
①まずは防寒に努める
冬の寒さは私たちの体内の活動を衰えさせを血行を悪化させて、さまざまな病気の再発や症状の悪化を招く原因となります。特に中風(脳卒中の後遺症として主に半身不随となる状態)、脳出血、心筋梗塞など生命を脅かす病気の発病率や死亡率が急激に上昇する時期です。漢方では、寒気にさらされた身体の場所によって、さまざまな症状が表れるとしています。冬はまず寒さから身を守ることが第一です。
・頭
頭部に直接寒気を受けると、血管が収縮し頭部の筋肉も緊張して、頭痛、風邪、胃腸障害などを起こしやすくなります。
・背
背中のツボに寒気を受けると、筋肉や内臓に悪響を及ぼし病気の原因となります。腰や背中の痛みのほか、頚椎や腰椎に影響を与えて全身の筋肉や関節、内臓の不調を起こします。
・脚
脚に寒気を受けると、反射的に呼吸器官の粘膜にある毛細血管が収縮して繊毛の活動が衰え、抵抗力が弱まります。そのため、細菌やウイルスが侵入しやすくなり、インフルエンザにかかるなどしてしまいます。
②睡眠をしっかり取る
身体を休めてエネルギーを蓄積するために、冬は睡眠が大切な季節です。夜が長い冬は、それに合わせて睡眠時間も多く取ることを漢方ではすすめています。朝はできるだけ暖かくし、夜は早くベッドに入るように心がけましょう。
③腎臓の働きを助ける
五行説では、冬は「腎」に対応します。冬は寒くて汗をかく機会が少なくなるので、水分代謝が滞りがちです。「腎」は泌尿器系の器官と関連があり、体内の不要な水分を尿として排出する働きをします。
冬になるとトイレが近くなったり、むくみが出たり、膀胱炎を起こしやすくなったりするのは「腎」の働きが弱まっているせいかもしれません。冬は腎臓の働きを助けるように注意が必要です。
④温かい食べもので体温を調節する
寒く乾燥している冬の気候に合わせて、食生活では「保陰潜陽」が基本原則です。これは自然界に合わせて、陽を抑えて陰を助ける飲食を心がけるということです。温かい食事によって体温を維持し、エネルギーを増やしていきます。また、寒がりとミネラルの不足には関係があることが研究により分かっています。温かいスープや鍋は、この季節にぴったりのメニューでしょう。
冬の食事の注意点
①「腎」の働きを助ける
漢方では、「腎」は生命エネルギーの素である精気の貯蔵場所としています。冬になると体内の陽気は奥深くに納まり、生理活動も活発でなくなります。この時、「腎」は冬の間のエネルギーを維持し、活動が活発になる春のためにエネルギーの備蓄を行っています。この「腎」の働きを助けるようにすることが、冬の食事療法の最も重要なポイントです。動物性食品を多く摂るようにし、ビタミン・ミネラルの補充も心がけます。羊肉、大豆、クルミ、栗、きくらげ、ごまなどが冬に適した食べものです。
②硬いものは避け、温かいものを食べる
硬く粘り気のあるものや生ものの多くは陰の食べものです。冬にこれらの食べものを食べると「脾・胃」が損傷されやすくなります。また、寒いからといって熱すぎるものを食べると、食道を傷めたり、胃に入ってから体内の熱をこもらせ病気の原因となったりします。冷たすぎるものも、「脾・胃」の血管を刺激して血液の流れを滞らせ、臓器の血液不足を招いて健康を損ねることになります。冬は温かく、柔らかいものを食べるのがよいでしょう。
③「苦」を多く「鹹」は少なく
冬は「腎」の働きが弱まりますが、「鹹」の食べものは「腎」の「気」を活発にさせすぎる作用があり、それにより「心」の働きを衰えさせて健康に悪影響を与えてしまいます。冬は塩辛いものは少なくし、苦い食物を多く摂るようにして「心」の働きを助け、「腎」の活動を調整することが大事です。
④根菜類でミネラルをたっぷりと補充する
異常に寒さを感じることとミネラルの不足には密接な関係があります。にんじん、山芋、れんこんなど貧血の女性は正常な女性に比べて赤血球が少なく、体温が0.7度も低く、エネルギー生産量が13%少ないという実験データがあります。新陳代謝が活発でなく、一般の人より寒がりという結果でした。冬は卵黄やほうれん草など鉄分が豊富な食べものをできるだけ食べるようにしましょう。
また、体内のカルシウム不足は心筋や血管、筋肉の伸縮性や興奮性に悪影響を及ぼすので、カルシウムの補充も寒さへの抵抗力を高めるために必要です。
⑤ビタミンの補充も忘れずに
寒さは人体の酸化作用を促進させるので、体内のビタミン代謝も大きく変わってきます。ビタミンA・B・Cが豊富な食べもので補充を心がけましょう。ビタミンBは口内炎などの予防に有効です。ビタミンA・Cは寒さに対する抵抗力を高め、風邪や高血圧、動脈硬化、心臓・脳の血管の病気の予防に役立ちます。新鮮な野菜や果物を多く食べるようにしましょう。
⑥生姜を食べるようにする
生姜を食べると血液の循環がよくなり、発汗作用や胃液の分泌・腸の動きを促進させて食欲を増進させる効果もあります。また、生姜には抗酸化作用があり、風邪や頭痛、咳、吐き気などの症状に対する治療の補助に有効です。
冬におすすめの食材
●身体を温めるもの
羊肉、鶏肉、エビ、玉ねぎ、ニラ、かぼちゃなど
特に羊肉は身体を温める効果が高いことで知られています。エビやニラは頻尿対策にも有効です。
●色の黒いもの
黒ごま、黒きくらげ、黒豆、海藻類など
黒い食材は腎の働きを助けます。冬だけでなく摂りたい食材です。
●きのこ類
キノコ類を摂ると、抵抗力や免疫力がアップするといわれています。近年の研究ではキノコ類に含まれるβグルカンの抗炎症作用や抗がん作用も注目されています。
●柑橘類
みかんやキンカン、ゆずなどの柑橘類にはビタミンCがたっぷり含まれています。風邪の予防や咳が出る時におすすめです。
まとめ
冬は1年で最も冷えが強まる季節です。東洋医学では、腎を養う時期とされ、生命エネルギーの貯蔵、成長、老化に関係する腎が弱ると体調が崩れやすくなります。冷え、乾燥、血行不良が重なり、冬は不調が表に出やすいのが特徴です。腎を補う食材として黒豆や生姜、温かい飲み物を取り入れ冬の寒さに負けない身体を作りましょう!

