お茶と紅茶の種類と効果|薬膳の視点でみる“癒しの一杯”

薬膳の基本

お茶は、私たちの暮らしに溶け込んだ最も身近な飲み物のひとつです。
朝の一杯、仕事の合間のひと息、食後のリラックスタイム。
そんな日常の中で自然と手にするお茶には、薬膳的に見るとそれぞれ異なる“体を整える力”が備わっています。

はじめに

茶葉は大きく「発酵の度合い」で種類が分かれます。
発酵の少ない緑茶は体の熱を冷まし、完全に発酵させた紅茶は体を温めます。
このように、お茶は発酵度や製法の違いによって、体への働きがまったく変わるのです。

今回は、薬膳の理論をもとに代表的な茶葉の性質と効果を紹介します。
「なんとなく疲れている」「冷えを感じる」「肌の調子が気になる」…
そんなときに、自分に合ったお茶を選ぶヒントになれば幸いです。

緑茶|熱を冷まし、心を静める

緑茶は、発酵を行わずに茶葉を蒸して作られる“不発酵茶”です。
そのため茶葉本来の栄養が残り、抗酸化作用や抗菌作用が非常に高いのが特徴です。
薬膳では、体にこもった熱を取り除く「清熱(せいねつ)」の働きがあるとされ、 のぼせやほてり、イライラなど“熱のこもり”による不調をやわらげてくれます。

緑茶に多く含まれるカテキンは、免疫力を高めるとともに、体の老化を防ぐ力もあります。
また、カフェインには集中力を高める作用があるため、気分を切り替えたいときにもおすすめです。

  • 性質:涼性
  • 味:苦・甘
  • 主な効能:清熱解毒、抗酸化、利尿、鎮静
  • おすすめ:のぼせやすい方、熱っぽい体質、肌荒れが気になる方

烏龍茶|消化を助け、気の流れを整える

烏龍茶は「半発酵茶」に分類され、緑茶と紅茶のちょうど中間的な性質を持ちます。
体を冷やしすぎず温めすぎない“平性”で、どんな季節にも取り入れやすい万能なお茶です。

薬膳では、烏龍茶は「化痰(けたん)」といって、 体内にたまった“余分な脂や老廃物”を流す働きがあるとされています。
油っこい食事が多い方や、食後の胃もたれを感じやすい方に特におすすめです。

また、気の巡りを良くすることで、ストレスによる食欲不振や肩のこりにも効果的。
食事と気分のバランスを整えてくれる、まさに「心身をなめらかにするお茶」です。

  • 性質:平性
  • 味:苦・甘
  • 主な効能:消化促進、化痰、気巡り改善
  • おすすめ:脂っこい食事が多い方、ストレスを感じやすい方

紅茶|体を温め、気血を補う

紅茶は「完全発酵茶」であり、体を内側から温める「温性」のお茶です。
発酵によって香りが豊かになり、気分をやわらげる効果もあります。
血流を促進して冷えを改善し、疲労回復にも役立ちます。

薬膳では、紅茶は「温中散寒(おんちゅうさんかん)」といい、 体の内側から寒さを追い出す作用があるとされています。
特に女性の冷えや月経不順、エネルギー不足におすすめです。

朝や冬場など、体を温めたいときに飲むと血流が良くなり、代謝が整います。
ミルクティーにすることで、より“補う”力が強まり、気血の養生にもなります。

  • 性質:温性
  • 味:甘・苦
  • 主な効能:温中散寒、気血補益、疲労回復、冷え改善
  • おすすめ:冷え性、虚弱体質、疲れやすい方

黒茶|老廃物を流し、体を整える

黒茶は「後発酵茶」に分類され、長期間発酵・熟成させて作られるお茶です。
プーアル茶が代表的で、深い香りとやわらかな味わいが特徴です。

体内の老廃物を排出する「利湿」作用があり、むくみや体の重だるさを改善します。
また、血中脂質を下げる働きも報告されており、生活習慣が気になる方にもぴったりです。

消化を助ける効果もあるため、脂っこい食事をよく摂る人や、食後の重たさを感じやすい人にもおすすめ。
日常の“デトックスティー”として取り入れたいお茶です。

  • 性質:温性
  • 味:苦・甘
  • 主な効能:利湿、解毒、血脂低下、消化促進
  • おすすめ:むくみやすい方、脂質が気になる方

まとめ|お茶は“飲む薬膳”

お茶や紅茶は、ただの嗜好品ではなく、体調や気分に寄り添う自然の恵みです。
体を温めたいとき、冷ましたいとき、リラックスしたいとき――
その日の自分に合ったお茶を選ぶことが、薬膳の基本です。

いつもの一杯が、体を整える“薬膳の時間”になりますように。
香りを楽しみながら、自分の心と体にやさしく向き合ってみましょう。